秋の味覚で脳のアンチエイジング
前回からお届けしている「二十四節気」をテーマにした食育。今回も、これから迎える二十四節気の暦や、旬を迎える美味しい食材をご紹介します。また、秋の味覚で叶う“脳の若返り”にも注目。身近な秋の食材で、ぜひ脳からアンチエイジングしていきましょう!
アンチエイジング
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暑さも和らぎ涼風を感じる爽やかな季節へ
季節を知るよりどころとして古くから親しまれ、いまでも季節の節目を示す言葉として使われている「二十四節気」。太陽の動きをもとに一年を二十四に区切ったもので、それぞれに天候や生き物の様子などを表す名が付けられています。これから迎える秋は、二十四節気のうち「秋分」「寒露」「霜降」にあたる季節。「秋分」は九月二十三日頃からの十五日間で、暑さも落ち着き涼しい風を感じる日が多くなります。秋の七草が咲き揃う時季でもありますね。「寒露」は十月八日頃からの十五日間で、いよいよ秋本番といった頃。山の木々も紅葉の支度を始めます。「霜降」は十月二十三日頃からの十五日間で、山間部や北国では霜が降り始める頃。野の花の数もだんだんと減り、山は美しく紅や黄色に染まっていきます。
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秋に旬を迎える色とりどりの食材たち
二十四節気が巡れば旬の食材も移り変わります。これからの季節に旬を迎える食材といえば「きのこ」「さんま」「栗」などがありますね。他にも、野菜・果物なら「さつまいも」「りんご」「柿」などが、魚なら「鮭」「ほっけ」「銀鱈」などが旬です。それから忘れてはならないのがお米。秋は新米の季節でもあり、ピカピカの美味しいお米が多く出回ります。このように、秋は本当に美味しい食べ物がいっぱいの、まさに食の季節。〝食欲の秋〞とはよく言ったものですね。旬の食べ物は、美味しいだけでなく栄養価も豊富で、さらに価格がお手頃になるのもうれしいところ。ぜひ外食でも毎日の食卓でも、季節の食べ物を積極的に取り入れて秋の食をめいっぱい満喫しましょう。
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秋の味覚・さんまで脳のアンチエイジング!?
秋に旬を迎える食材の代表格、さんま。〝秋といえばさんま〞と言っていいほどお馴染みですね。今回注目したいのは、そんなさんまをはじめ魚やお肉などに含まれていることが多い「アラキドン酸」。アラキドン酸は、体内でほとんど作られないため食事から摂取する必要がある「必須脂肪酸」のひとつです。このアラキドン酸がなぜ注目なのかというと、記憶力の向上や認知症の予防・改善に良いとして最近さまざまなところで取り上げられているのです。〝脳への効果〞が注目されているということですね。アラキドン酸は、記憶に関わる脳の部分の神経細胞の生成を促す働きを持っています。高齢者やアルツハイマー患者は、脳の細胞膜に含まれるアラキドン酸の量が少ない傾向にあるとも言われているのです。神経細胞は70歳を超えても作られると最近分かってきているので、いつまでも若々しい脳を保つためにも、ぜひアラキドン酸の含まれる魚やレバーなどを積極的に取り入れてみませんか?
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脳への効果をしっかり得るなら「お刺身」
脳への効果が期待できるアラキドン酸についてお話しましたが、アラキドン酸摂取のために魚をいただく際、覚えておきたいことがあります。それは〝食べ方(調理法)〞です。
最もおすすめなのはお刺身でいただくこと。その理由についてくわしくご説明しましょう。先ほど、アラキドン酸は必須脂肪酸のひとつをご紹介しました。必須脂肪酸は構造的に「不飽和脂肪酸」に分類され、不安定な構造をしているため熱や空気により変性しやすい性質があります。分かりやすく言うと〝いたみやすい〞のです。とくに、高温の油で調理する炒め物や揚げ物などでは変化が起こりやすいとされています。ちなみに、同じく脳に良いとされ血液サラサラ効果などでも知られる「EPA」「DHA」も魚には多く含まれますが、これらも必須脂肪酸で、アラキドン酸とともに摂取すると脳の若返りなどに効果的であることが分かってきました。いずれも加熱や酸化に弱い成分です。
アラキドン酸やEPA・DHAの効果をしっかり得るためには、ぜひ熱を通さずお刺身でいただきましょう。もちろん、お寿司やカルパッチョ、たたきなどでもOK。ぜひお魚を召し上がる際の参考にしてください。
「一物全体」~食材の美味しさと栄養をまるごと召し上がれ~
「一物全体」という言葉をご存知ですか?これは、「食べ物はできるだけ丸ごといただきましょう」という考えを表した言葉です。動植物の命をいただくのですから、感謝を込めて、その命は余すことなくいただきたいですね。また、1つの食材は全体で栄養バランスがとれており、一部分ではなく全体を食べることで、その食材がもつ栄養をすべて欠くことなく摂取できます。たとえば、野菜なら葉や皮、根などすべていただくのが理想。皮は剥いてしまうことが多いと思いますが、皮には他の部分にないビタミンやミネラルが含まれているのです。硬い芯にも食物繊維などの栄養が含まれているので、キャベツなども芯を捨てずにぜひ丸ごと食べましょう。また、魚ならば文字通り一匹丸ごと食べるのが理想。しらすやししゃもなどの小魚類なら骨や頭までしっかり食べられ、身の部分にないカルシウムなども摂れますね。またお米も分かりやすい例です。もちろん丸ごとといっても籾は食べられないので、玄米で食べるのが良いでしょう。玄米は栄養バランスが理想的な食材ですが、精米して白米になるとその栄養価は激減します。このように、食べ物は丸ごといただくことで栄養面での大きなメリットがあるのです。また、その食べ物の命をそのままいただくわけですから、きっと食品成分表の数字だけでは示せない“生命のパワー”を感じられることでしょう。ぜひ、普段の食生活でも、感謝の気持ちを持って可能な範囲内で“丸ごと食べる”ことを意識してみてくださいね。
季節の素材を存分に楽しめる宴会コース
二十四節気のうち「秋分」「寒露」「霜降」にあたる9~11月。さんまや松茸、かぼちゃ、栗、などさまざまな美味しい食材が旬を迎えますね。今回は、そんな季節の素材を存分に楽しめる宴会コースを「稲田屋」からご紹介。今しか堪能できない旬の味わいをぜひお楽しみください。
ふんだんな秋の素材で彩る季節の宴会コース。
●酒席 『宴~うたげ』 4,320円(税込)
/飲み放題付:5,820円(税込)
絶品ローストポークをメインで楽しめる季節のコース。ローストポークは、舞茸を油で揚げて牛乳や生クリームで合わせた香り高いソースを使用しています。松茸や銀杏、栗、かぼちゃなど、今が旬の秋野菜もたっぷり。秋がシーズンの鱧は10月が食べおさめとなります!
<コース内容>
・先附:鴨と松茸の利休掛け 秋野菜
・造里:お造り二種盛合せ
・焼物:本日の魚醤焼き(鳥取県産まぐろ魚醤使用)
・肉料理:ローストポーク 木の子ソース 秋野菜
・揚物:鱧の磯辺揚げ
・酢物:本日のお浸し
・食事:小椀蕎麦
今が旬!脂が乗ったさんまも絶品!
秋を代表する魚といえば、やはりさんま。稲田屋では、北海道産の美味しいさんまをお届けします。旬ならではの脂が乗ったさんまの美味しさをそのまま堪能できる新鮮な刺身のほか、丸ごと一匹香ばしく焼き上げた焼き魚としてもご用意。さんまによく合うこだ わりの地酒もご用意しています。
四季と酒の蔵 稲田屋
店長 宇佐美さん
鳥取県米子市に蔵元を持つ稲田屋では、山陰食材を使用したこだわりのお料理や、蔵元直送の美味しい地酒をたくさん揃えております。これからの季節は、さんまや松茸をはじめ旬の食材を使用した季節のお料理もさまざまご用意。その日の仕入れに合わせた日替わりメニューも登場するので、ぜひお楽しみください。また、当店には利き酒師が在籍しており、各お料理と相性の良いお酒もご案内させていただきます。ぜひ気軽にお声がけくださいませ。スタッフ一同、皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
四季と酒の蔵 稲田屋
アレアde食育 column
脳からつくるキレイな身体。
脳を上手に使うことで、いつものストレッチがより効果的な「エロンゲイト」に!脳で身体をコントロールして、理想の身体をつくりましょう。
皆さん、普段ストレッチはしていますか?健康のためにしているという方も多いことと思います。普段からストレッチをしている方も、とくにしていない…という方も、この秋からはぜひ美容と健康のために「エロンゲイト(Elongate)」を習慣にしてみませんか?
エロンゲイトは、ストレッチと似ていますが厳密には少し違います。ストレッチは、筋肉を物理的に伸ばしますね。これに対しエロンゲイトは、筋肉が“ 長くなる”ことを頭でイメージします。もちろん、頭でイメージしながら体も伸ばすのですが、あくまでも主役は“脳”。脳で自分の筋肉が長くなることを意識しながら身体を動かすことで、その効果をより高めることができるのです。
難しいように聞こえますが、そんなことはありません。いつでもどこでも、気軽に実践することができます。たとえば、家で寛いでいる時やベッドに入った後でもOK。寝ながら身体をグーっと心地よいように伸ばし、頭の中で自分の筋肉が長くなっていることをイメージします。この時呼吸は止めたりせず、リラックスして行ってくださいね。また、仕事中など椅子に座っている時でもOK。頭が椅子と垂直方向に引っ張られているようなイメージで背筋をスッと真っすぐにし、脳で意識しながら身体を伸ばします。
コツは、自分の身体や筋肉を“脳でコントロールする感覚”を覚えること。人間の身体は、脳の使い方や意識の持ち方によって、いくらでも変えることができるのです。
ぜひこの秋からは、脳で自分の身体をコントロール
し、より理想に近い健康で美しい身体をつくっていきましょう!
協力 ● 花の集い・健康コンシェルジュの会
花の集い・健康コンシェルジュの会は、医学博士、保健学博士、薬剤師、医師、看護師、健康運動指導士、管理栄養士、フードコーディネーター、教育者など、人々の健康を指導してきたプロフェッショナルなプロジェクトです。未来の子供たちのためにも女性たちが健 康を考え、促進することが大切ということで発足されたチーム。ボランティア姿勢での企業とのコラボレーションなどで社会に健康と食育の大切さをアピールするコンセプトで、様々な企画を発信しています。セミナーやワークショップなどの会費や講師料は、現在復興協力として福島に桜の木を植樹し花を咲かす基金として活用しています。
保健学博士 山本 初子
日本女子大学大学院家政学研究科食物・栄養専攻修士課程修了。学習院女子短期大学を初めとして多くの大学・短大などの非常勤講師を経て実践女子短期大学、桐生大学の教授を歴任。2000年博士(保健学)号取得。管理栄養士。フェルデンクライス・メソッドIFF認定プラクティショナー。花の集い・健康コンシェルジュの会会員。
健康運動指導士 湊 真里
1957年 静岡県生まれ、1979年 東京女子体育大学卒業、1988年 健康運動指導士資格修得、2000年 フェルデンクライスメソッド国際ライセンス取得
大学卒業後より有酸素運動時の質の良い動きについて研究。身体調整体操として集大成させ、本体操を創始。現在、指導者の養成に力を入れている。また、保健センターなどで健康教育の講師多数。