“よく噛む” ことで、もっと美味しく、もっとキレイに。心とカラダ。
脳にもチューイング!
「よく噛んで食べなさい。」子どもの頃、親や先生から言われませんでしたか?これは、実はとても理に適った教え。よく噛むことで、健康にも美容にも役立つことがたくさんあるのです。今回は、そんな“よく噛んで食べること”の大切さについて、少し考えていきましょう。
春からスタート!
よく噛んで食べる事が食育。


よく噛むことがなぜ良いの?
何かと忙しい毎日。皆さんは〝ゆっくり楽しんで食事をする〟という機会をどれだけ持てているでしょうか?時間に追われてササっと食事を済ませることが多い…という方も少なくないのでは?しかし、よく噛んで物を食べるということは、実はすごく大事なこと。その理由を、いくつかのポイントに分けて見ていきましょう。
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●歯周病の予防になる
よく噛むと唾液がたくさん出ますね。唾液の中には、多くの免疫物質(リゾチーム、ラクトフェリン、分泌型IgA抗体など)が含まれています。これらを含む唾液が歯の周りを覆うことで、歯周病菌が歯の表面に付着しにくくなったり、増殖しにくくなったりするため、歯周病の予防に役立つのです。
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●肥満の予防になる
よく噛むことで満腹中枢が早く刺激され、食べ過ぎを防ぐことができます。早食いが太りやすいと言われるのは、満腹中枢が反応する前(満腹を感じる前)に必要以上の量を食べてしまうからです。
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●きれいな歯並びにつながる
歯並びが悪くなる原因のひとつに、顎の小ささが挙げられます。小さな顎に大きな歯が出ようとすると、乱杭歯になるのは当然ですね。よく噛むことで顎の発達を促せるため、子どもはよく噛んで食べる習慣をつけることで歯並びを良くすることができるのです。
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●認知症の予防になる
噛めば噛むほど、脳に刺激がいきます。脳に刺激がいくことで脳の血流も良くなるため、結果的に認知症を防ぐことにもつながるのです。
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●食材の美味しさを味わえる
そして最後に、よく噛んでゆっくり楽しみながら食事をすることで、食材の味をしっかり感じられるようになります。「この食材はどんな味を持っているのかな?」「この食材とこの食材が合わさるとこんな味になるんだな。」など、文字通り、よく〝味わって〟食べる習慣をつけてみましょう。食事の楽しさがもっともっと広がるはずです。
よく噛んで食べるには「歯」も大切!
よく噛んで食べることの大切さが分かりましたが、それには健康な歯も必要不可欠ですね。
皆さんは、1989年に厚生省(現厚生労働省)と日本歯科医師会から提唱された「8020(ハチマルニイマル)」をご存知ですか?「80歳になっても20本以上の歯を保とう」という運動で、生涯自分の歯で食べる楽しみを味わえるように…という願いから始まったものです。20本以上の歯があれば食生活にほぼ満足できることからこの数字となっています。実際、自分の歯がまったくなく、食事を楽しめないのはもちろん自分で歩くことも困難だった人が、総入れ歯を入れたら歩けるようになったという報告もあります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?それは、歯の神経が関係しています。1本1本の歯には神経が通っており、その神経は脳につながっています。
つまり、物を噛む時の歯への圧力が脳の神経に刺激を与えるのです。しかし歯がないと物を噛めない(噛めないまま飲み込む)ため、脳への刺激がほぼゼロになりますね。すると脳の働きが鈍り、身体の機能にも影響してくるわけです。歯は食べ物を噛んで飲み込みやすくするためだけの道具ではない、ということがよく分かりますね。ちなみに、スポーツ選手が歯の咬み合わせを治すとより力を発揮できるという話もよく聞きます。歯と運動機能は非常に密接な関係を持っているのです。
「何を食べるか?」はもちろんですが、「どう食べるか?」も食育の大切なテーマです。ぜひこれを機に、毎日の食事をゆっくり楽しく味わうことも心掛けてみてください。一緒にテーブルを囲む相手と会話をしながら食事をすれば、自然と噛む時間も増え、また、食事もより美味しく楽しいものになりますよ。